スペシャルティコーヒーの経済学

一杯の本当のコスト

バルセロナの実在するスペシャルティバーの前提を、すべて動かせます。家賃、杯数、フードを変えて、一杯あたりの利益がどうなるかを見てください。

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売価

€2.50

一杯の赤字

−€0.53

一杯が払っているもの
項目一杯あたり
コーヒー豆€0.21
ミルク€0.27
容器€0.07
砂糖・シロップ€0.04
水道光熱€0.02
ロス(3%)€0.02
固定費
一杯あたりの固定費€1.94
一杯あたりの減価償却€0.23
フードと豆による負担軽減−€1.03
一杯の赤字−€0.53

250 g の豆 · 売価 €11.50 · 原価 €8.05 · 粗利 €2.40

シナリオ(重ねられます)
コーヒー
€2.50
105
フード
37
€4.50
250 g の豆
1
€23
固定費
€2,000
€2,100
€1,800
€50,000

一杯あたり

税抜売価

€2.27

変動費

€0.63

負担軽減

€1.03

一杯の固定費

€2.17

一杯の利益

−€0.53

月次 EBITDA

−€1,441

損益分岐点

126 杯/日

モデルの下敷きになった店

バルセロナに実在するスペシャルティバー。席は十六、バリスタ一人、オーナーはカウンターの中、生豆は 1kg €23、一日 105 杯、年間 310 日営業。

客が払うのは €2.50。そのうち €0.23 はそのまま税務署へ行き、店に残るのは €2.27 です。

一杯つくるのに €0.63 かかり、さらに固定費を €3.20 背負います。合計 €3.83。

コーヒーだけなら、この店は一杯ごとに €1.56 の赤字です。すべてを賄うには一日 205 杯——フードと豆売りが分担すれば 126 杯。

スライダーを動かせば、このページの数字はすべて一緒に変わります。

モデルの読み方

金額は収入・支出とも税抜き、法人税を引く前の数字です。スペシャルティの店が続けられるかどうかを決めるのは、この六つの数字です。

税抜売価
店が実際に手元に残す金額。スペインの飲食店の消費税は 10 % で、国に代わって預かっているだけのお金です。
変動費
一杯が実際に消費するもの——豆、ミルク、容器、砂糖、水、そしてロスになる分。請求書のなかで最も小さい部分であり、唯一話題になる部分でもあります。
一杯あたりの固定費
家賃、人件費、オーナーの給与、保険、税理士、減価償却を売れた杯数で割ったもの。売れない日も減らないので、価格より杯数のほうが効きます。
造作譲渡料
バルセロナで、店舗を引き継ぐ権利として前の借主に払う金額。設備も在庫も買えず、ほかの投資と同じように償却され、メニューには決して現れません。
フードと豆による負担軽減
焼き菓子と豆売りの粗利を、売れたコーヒーの杯数で割ったもの。コーヒーが儲かるようになるわけではなく、コーヒーだけでは払えない分を肩代わりします。
損益分岐点
いまの価格で全コストを賄うのに必要な一日の杯数。ここでは二通り示します——コーヒーだけの場合と、モデルが前提とするフードと豆売りを含めた場合です。

よくある質問

自分の店で使うには?
四つの固定費を自分の数字に置き換えてください——家賃、人件費、自分の給与、そして店舗を引き継ぐのに払った金額。そのうえで、実際の売価と一日の杯数を入れます。材料費は一杯あたりの数字で、街が変わってもほとんど動きません。結果を変えるのは家賃と杯数です。
なぜすべて税抜きなのですか?
消費税は、どちらの側から見ても店のお金ではないからです。客から国のために預かり、豆やミルクや機材で払った分は四半期の申告で戻ってきます。税込と税抜を混ぜることが、自分の稼ぎを多く見積もってしまう一番よくある原因です。
固定費には何が入っていますか?
家賃、フルタイムのバリスタ一人、オーナーの給与、電気とガス、水道、通信とPOS、保険、税理士、広告、清掃、廃棄、雑費、設備と造作譲渡料あわせて 97,800 ユーロの九年償却、そして毎月の解雇引当金です。
なぜ杯数で一杯あたりのコストがこんなに変わるのですか?
固定費が動かないからです。同じ請求書を一日 30 杯で割るか 200 杯で割るかで、一杯 11.21 ユーロか 1.68 ユーロになります。追加の一杯は前の一杯より価値が高く、だから人通りの少ない通りは、まずいエスプレッソより店を痛めます。
バルセロナ以外でも使えますか?
構造は使えますが、数字はそのままでは使えません。家賃と造作譲渡料こそがバルセロナをバルセロナにしています。自分の街の家賃を入れれば損益分岐点はすぐ動きます。スライダーはそのためにあります。

金額は収入・支出とも税抜き、法人税を引く前の数字です。記事はこのモデルにもとづいています。